碧い鱗

青が好きです。魚の体を覆っている鱗の様に今の私を形成している想いでや出来事をチラチラと散りばめて書こうかと・・・

入れない場所・・私にとっての立ち入り禁止場所

コックリさんの記事を書いていて思い出したことがあった。
たまにだが、行きたいと思っても、どうしてもたどり着けなかったり、入れなかったりする場所がある。
そういう場所は私にとって行ってはいけない場所だと今は認識しているが、昔はよくわかっていなかった。


中学三年の修学旅行は、熊本・鹿児島・宮崎を回るバス旅行だった。
鹿児島のある場所で昼食のためバスを降りた。
通された場所には薩摩・鹿児島出身の偉人の肖像画が沢山あった。
私はぞっとした。肖像画に見られている気がしてならなかった。
おかげで、食事が喉を通らなかった事を覚えている。

昼食後は「城山公園」に行くことになっていた。
私は昼食の場所に寄った以降体調が優れなかった。
それでも先生に報告するまでも無い位だったので普通に目的地で降りた。

当時はあまり歴史に興味が無かったので、その場所については「西南戦争があった場所」位の認識で、
西南戦争」がどんな出来事だったのか知らなかった。

バスを降りて、駐車場から公園に入る道の途中で声が『行くな』と言った。
しかし修学旅行の行程なのだから行かないわけにはいかない。
「大丈夫でしょ」と頭の中の声に返事をし、私は歩き出した。
ところが、道を進むにつれ吐き気が酷くなって来た。
一緒の班の子が、「顔色の悪かばい、大丈夫ね?」と心配するくらいだった。
「大丈夫ばい、ゆっくり行くけん」と答えたが、吐き気と共に頭痛もして来た。
「やっぱいバスに戻ったが良かよ、結構歩くごたっけん」と言って班長は私をバスまで送り届けてくれた。
バスに戻り、席で座っていると直ぐに頭痛も治まり、吐き気も弱くなった。
引率の保健室のお姉さんが「車酔いかね、暫く休みんしゃいね」と気遣ってくれたが、皆が戻ってくる頃にはすっかり治っていた。

後で聞いたが、公園に行った生徒の中で何人か体調が悪くなった人も居たらしい。
私は公園にさえ入れ無かったのでたいした事は無かったが、もし強引に行っていたらどうなっていたか分からない。

ここで「西南戦争西南の役)」について説明する気は無いが、のちに西郷隆盛切腹した場所だと知った。
そして公園にある西郷洞窟なる場所は昔から心霊スポットで有名だったらしい。

それ以来、心霊スポットには極力行かないようにしている。
それでも知らずに行こうとしてしまう事がある。

若い頃、旅行で日光に行き、「華厳の滝」に行くことになった。
その日は快晴で紅葉の季節でもあり、観光バスも沢山来ていた。
車で向かっていたのだが、当然道は混雑していた。
それでも仕方ないと友人は車を走らせていた。
田舎者の私は「華厳の滝」がどういうものか知らず、ただの滝くらいに思っていた。

もう直ぐ駐車場という時に、霧が出てきた。山の天気は変わりやすい。
友人は「混雑時に霧は危ないなぁ」と言ったが渋滞の列の中どうする事も出来なかった。
仕方なく待っていると、前方から警備員が各車に何かを言いながら降りてきた。
何事かと聞くと、「駐車場の近くで転回中のバスが故障し、道を塞いだまま動けなくなった。いつ直るか判らないので、駐車場にいつ入れるか判らない」との事だった。
見ると、他の車のうち何台かはその場でUターンして降りていく様だ。

「どうする?」と友人に聞かれ、私は「うーん、なんか行くなって言われている気がする」と答えた。
しばらく考えた友人は「どうせ霧で景色も期待出来ないから戻ろう。腹も減ったし」と私達はUターンする事にした。
そして麓に下りた頃、それまで微動だにしなかった渋滞の列がどんどん進みだした。
立ち往生のバスが回復したのだろう。
何となく悔しい気がしたので、どうするか考えたが、友人が「今回はケチが付いた気分だからやめにして他の場所に行こう」と先ずは麓のレストランに入った。
レストランは空いていた。レストランの人に聞くと、さっき動き出したと観光バスが移動したので、お客も慌てて登って行ったとのことだ。
おかげで私達はゆっくり昼食をとることが出来た。
又レストランの人はこうも言っていた。「急に霧がでると事故も多いんですよね。そういう時を狙ってわざと来る人も居ますけど、感心しません」と
どういう意味だろうと思ったが、後に「華厳の滝」が心霊スポットと知り、レストランの人の言葉の意味も判り、「ああ、行かなくて良かった」と思ったものだ。
華厳の滝」の様な場所は快晴より曇りや霧が出たほうが心霊写真が写りやすいらしい。

とにかくうかつに心霊スポットには行ってはいけないと思う。
もし、そこに何かが居て、憑いてこられたら大変だ。
自分で祓う事が出来る人は良いが、生憎私にはそんな力は無い。
だから行かないに越したことは無い。

夏に訪れる心霊スポットブームはテレビで見ているだけで十分だ。
大抵は「??」と思う写真や場所だが、時々見ただけで身の毛が立つような本当にヤバイものもある。

そうして私は「うわーこんなの流して大丈夫?」と安全な場所でつぶやくのだ。