碧い鱗

青が好きです。魚の体を覆っている鱗の様に今の私を形成している想いでや出来事をチラチラと散りばめて書こうかと・・・

2021-05-12から1日間の記事一覧

マツリカの時:終

一月二十五日、予定通り店を休みにしたまつりの一行は大蔵、安田と待ち合わせて湯島天神まで出掛けて行った。 この日雨は降っていなかったが前日からの冷え込みで一日曇天が予想された。 昨日から何を着ていくか悩んでいた茉莉花だったが、結局いつもの軽装…

マツリカの時:十二

とうとう江戸で正月を迎えてしまった。 暮れには長屋から引っ越してきた文太を迎え、少々手狭になったまつりだが、何とか無事正月を迎えることが出来た。 晦日まで店を開け、いつもより早仕舞いをしようと思ったが、掛取りに走り回るお店の奉公人や、暮れに…

マツリカの時:十一

暮れも押し迫って、海風も益々冷たく感じる頃、文太に新たな試練が襲い掛かった。 このところ食は細くなったままだったが、小康状態を保っていた文太の父親が、ことのほか冷え込んだ朝、厠に行こうとしたまま、大量の血を吐いて倒れた。 直ぐに医者に診ても…

マツリカの時:十

師走に入り、坂を上って吹く潮風がますます冷たく感じる様になった。 先日の誘拐騒ぎは増田の働きかけもあって、少々の取調べはあったものの、雛屋はかどわかしの罪で菊太郎と共に江戸払いとなり店を畳むことになったそうだ。 政次は余罪もあって遠島になり…

マツリカの時:九

霜月の晦日前日、その日は朝から雨が降っていた。久しぶりの雨だが、冬も押し迫ってきているため気温もぐっと下がり、 このままだと雪になるかも知れないと言う空模様だ。 「こんな日に遠出は大変だけど、藩の御用じゃ仕方ないですね。気をつけて行ってくだ…