2021-04-28 マツリカの時:序 何年か前に書いた拙い小説 山がざわめいた気がした。 立ち止まり耳を澄ましてみたが、鳥たちは特に騒いでいない。 木々の間から空を仰ぎ見ても青空は見えるが、さしずめ天気が変わるようでもなさそうだ。 もう少し奥まで行ってみようと思っていたが、何となく気が削がれた。 アケビはまだ固く、山芋も小さかった。あまり収穫は無かったが今日はこれくらいにして帰るかと、背負子を揺すって担ぎ直し、おふきは山を降りることにした。